研究課題/領域番号 |
10440242
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
飯野 盛利 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (50176054)
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研究分担者 |
高野 誠 農水省, 農業生物資源研究所・分子遺伝部, 室長
植松 千代美 大阪市立大学, 理学部, 講師 (30232789)
樽井 裕 大阪市立大学, 理学部, 講師 (00236770)
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キーワード | 光屈性 / 青色光反応 / 光信号伝達 / 幼葉鞘 / イネ / トウモロコシ |
研究概要 |
本研究は、高等植物の光屈性の初期反応系に働くタンパク質成分を分子遺伝学的手法によって遺伝子から解明することを目的としている。本年度は次の成果を得ることができた。(1)イネ光屈性欠損突然変異体を用いた研究。幼葉鞘と根の光屈性が欠損したイネ突然変異体(cpt1)の原因遺伝子を解析している。この突然変異体はγ線で突然変異を誘発したイネM2種子から私たちによって分離され、既に十分な戻し交配がなされている。原因遺伝子はシロイヌナズナからクローニングされた2種の遺伝子(CRY1、NPH1)とは異なることを前年度の研究で明らかにした。今年度は更にNPH3遺伝子とも異なることを確認し、新規の光屈性関連遺伝子であると想定されたので、AFLP法を用いた遺伝子の単離とクローニングに向けた研究を開始した。現在までのところ、野生種とは確実に異なる遺伝子断片を幾つか見い出し、その解析を進めている。また、本年度は光屈性の突然変異体を新たに1系統分離することができた。この突然変異体は幼葉鞘の光屈性が損傷を受けているが、根の光屈性は正常なので、上記cpt1とは異なる遺伝子の突然変異体であると考えられる。(2)光受容機能再生系を用いた研究。トウモロコシ幼葉鞘の光屈性において光受容は先端部5mm以内で起こるが、先端を切除すると残された幼葉鞘の先端部に光受容機能が再生する。前年度、先端切除したトウモロコシ幼葉鞘に特異的に発現するmRNAのcDNA断片をsuppression subtractive hybridization法によって解析し、3つの新規なcDNA断片を得ることができた。本年度はそのうちの一つの全長cDNAをクローニングすることができた。配列の相同性検索から、まだ機能が明らかにされていない遺伝子であることが判明した。
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