研究課題/領域番号 |
10440253
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
百々 幸雄 東北大学, 医学部, 教授 (50000146)
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研究分担者 |
奈良 貴史 東北大学, 医学部, 助手 (30271894)
埴原 恒彦 東北大学, 医学部, 助教授 (00180919)
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (90141986)
河村 善也 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00135394)
阿部 祥人 慶応大学, 文学部, 教授 (90175919)
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キーワード | 北上山地 / 石灰岩洞窟 / 化石人類 / 更新世 / ヘラジカ / 縄文時代 / 配石遺構 / クマ犬歯 |
研究概要 |
今年度は風穴洞窟に焦点をしぼり、平成10年7月25日から8月12日までの19日間の発掘を行った。発掘区を広げたため、縄文時代の地層から発掘を開始し、更新世の第4層まで、N/O/P/Q-54.55.56区を完掘した。特記すべき遺物・遺構は次の通りである。 1 縄文時代地層 1m*1mの範囲に石灰岩の集積が認められ、それを集石状遺構と判断した。遺構の中からは、ツキノワグマの頭骨片、四肢骨片とともにクマ犬歯32本が集中して発見された。他の骨に比して犬歯が圧倒的に多いので、この遺構はクマの犬歯を意識して築造されたものと考えられた。クマの犬歯には人為的な加工痕は認められなかった。縄文前期と後期の土器を同時に伴出していたため、時代の判定に困難をきたしたが、クマの上腕骨の放射性炭素法による年代測定で3.060BPという値が得られ、この集石遺構を縄文後期と判定した。 2 更新世地層 昨年度出土したナウマンゾウとツキノワグマの放射性炭素法による年代が、それぞれ18.060BP,46.140BPと与えられ、第4層の年代幅が明らかになった。本年度もこの層からは、ニホンザル、ムササビ、ニホンムカシハタネズミ、二ホンモグラジネズミを始めとする絶滅種を含んだ多数の更新世動物化石が検出された。中でも注目すべきは、大型シカの歯がヘラジカと判明したことである。発掘調査による発見としては我が国で3例目ということで、今後ナウマンゾウとの共存関係が問題になりそうである。また入り口近くの第4層下部からは1cm角の木炭が多量に検出され、これが自然のものか人為によるものかは来年度以降の発掘で明らかになるものと思われる。
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