研究課題/領域番号 |
10440253
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
百々 幸雄 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50000146)
|
研究分担者 |
阿子島 香 東北大学, 文学部, 教授 (10142902)
河村 善也 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00135394)
阿部 祥人 慶應大学, 文学部, 教授 (90175919)
奈良 貴史 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30271894)
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (90141986)
|
キーワード | 北上山地 / 石灰岩洞窟 / 化石人類 / 更新世 / 絶滅種 / ヘラジカ / ナウマンゾウ / 化石産地 |
研究概要 |
本年度は7月23日から8月12日までの21日間の発掘調査を行った。前年度完堀した第1室に続き第2室を約6m^2掘削した。層位は第1室同様第1層が表土、第2、3層は縄文土器を含む黒色土層で、第4、5層が更新世の黄褐色土からなる。第2室の東側に延びた第3室を除いて、風穴洞窟は完掘したといえる。排土はすべて1mmメッシュの洗浄ふるいを行ったが、残念ながら石器、人骨等人類活動の痕跡を示す遺物の発見には至らなかった。 第4層の黄褐色土層からは昨年に引き続き大型動物の骨が得られているが、これらもへラジカのものである可能性がある。昨年度の動物化石については愛知教育大学の河村教授が中国に出張して最終鑑定を行ったが、大型シカはへラジカ、ゾウは幼獣なので正確な同定はできないが、マンモスゾウとは明らかに異なる特徴を示すことから、ナウマンゾウである可能性が極めて高いことが判明した。へラジカの存在は寒冷気候を示し、我が国では化石が非常に少なく、風穴洞窟が4例目の化石産地となる。 このほか小型哺乳類化石は数万点にものぼり、そのうち約800点のげっ歯類・食虫類化石の同定が完了した。それによると、リス、モモンガ、ムササビ、ハタネズミ、シントウトガリネズミ等のほか、ニホンムカシヤチネズミ、ニホンムカシハタネズミ、ニホンモグラジネズミ等の絶滅種も含まれており、当時の洞窟周辺が寒冷な森林的環境にあったことが推測され、と同時に風穴洞窟の小型哺乳類化石が東北地方後期更新世の標準化石になると結論された。
|