研究課題/領域番号 |
10440253
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
百々 幸雄 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50000146)
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研究分担者 |
奈良 貴史 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30271894)
瀧川 渉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90323005)
阿子島 香 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10142902)
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (90141986)
河村 善也 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00135394)
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キーワード | 北上山地 / 石灰岩洞窟 / 化石人類 / 更新世 / 縄文早期 / 中掫テフラ / アバクチ洞穴 |
研究概要 |
風穴洞穴では前年度で発掘可能な地点をほぼ調査し尽くし、崩落等の安全対策のため洞穴入口を閉塞してしまったため、当年度は11月20日から29日にかけての10日間、アバクチ洞穴を再調査した。調査総面積は、開口部G-4〜6区(約2m^2)と洞穴奥C・D-10〜12区(約4m^2)の計6m^2である。開口部の調査区では前年度までに手掛けた23a層以下を掘り下げ、縄文草創期以前の文化層あるいは化石の有無を確認することにした。また、奥部ではまだ弥生時代の包含層が残されていることからこれらの層を精査し、人骨および関連する遺物・遺構の検出に努めた。 開口部のG-6区では23a層において撚糸文や表裏縄文を施した縄文早期末相当の土器片が数点認められ、少なくともこの時期までは文化層の存在が確実となった。さらに同一のグリッドならびに層位において、当初焼土や灰と捉えていた土壌が存在するが、これについては十和田中掫テフラ(5500yr.B.P.)の可能性があるとの指摘を受けたため、現在土壌サンプルの分析を依頼中である。結局、この調査区では23a層上面から2mほど掘り下げたところで巨大な石灰岩に阻まれ、発掘を終了した。 一方、奥部では表土から順に掘り進めてゆき、D-10区において23a層上面に焼土を確認した。これは1997年度に認めた5号焼土の続きである。その西隣には径10cm程度の小さなピットが検出されたが性格は不明である。なお、当調査区の14a層の土を八木巻川の水流で水洗したところ、弥生後期の土器片数点とクマと思われる指骨と中手骨が認められたが、人骨は発見されなかった。 当年度において、主要地点のほとんどに調査の手が及んだと判断してよい。最終調査報告書は2001年度に刊行の予定である。
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