研究課題/領域番号 |
10440255
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西田 利貞 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40011647)
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研究分担者 |
五百部 裕 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20252413)
山極 寿一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60166600)
黒田 末寿 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80153419)
加納 隆至 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (40045050)
杉山 幸丸 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20025349)
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キーワード | エソグラム / チンパンジー / ボノボ / ゴリラ / ヒト / 共通祖先 / 文化 |
研究概要 |
まず、東部チンパンジーのエソグラムを、ゴンベ公園のグロッサリーと、マハレ山塊のエソグラムをもとに作成した。西部チンパンジーのエソグラムは、杉山のボッソウの道具使用に関するエソグラム、西田による象牙海岸タイ森林での短期間の直接観察、および文献を参照した。中部チンパンジーについては、黒田作成のエソグラムと西田・山極によるガボンでの直接観察を参照した。ボノボについては、加納作成のワンバのボノボのエソグラムと文献を参考にした。これらをもとに本年度は、マハレのチンパンジーの非常に詳細なエソグラムを作成して、マハレのチンパンジーの行動を8つの範疇に分類した。それらは(1)ヒトとパン属とに共通な行動、(2)ヒトには見られないがチンパンジーとボノボに共通の行動、(3)チンパンジー全亜種にみられるがボノボにはない行動、(4)東部と中央部のチンパンジーに見られるが西部チンパンジーには見られない行動、(5)東部チンパンジー全体に見られる行動、(6)マハレ個体群全体に見られる行動、(7)マハレのMグループのみの文化的行動、(8)Mグループの一部あるいは1個体のみに見られる行動、である。こうしてできた90枚におよぶ原稿をゴンベ公園で長年研究したジェーン・グドールとビル・マックグリューにチェックしてもらい、1998年12月に雑誌Anthropological Scienceに投稿した。3月にはわずかな改正でアクセプトされるという決定通知を受けた。一方、チンパンジーの文化的行動については、西田、杉山、クリストー.フ・ボッシュ、ジェーン・グドール、ビル・マックグリュー、アンドリュー・ホワイトンらが協力して6回におよぶメールの往復の後、約30の行動パターンをまとめて、Natureに投稿した。これはまだ審査中である。山極のまとめた東部ゴリラのエソグラムとチンパンジー属のエソグラムの比較は、進行中であるが、まだ論文作成の段階には達していない。
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