研究概要 |
本年度は、分子線エピタキシー装置にMn用のクヌードセンセルと組み込み、MnBi薄膜の作製を行った。まず、基板の検討を行い、MgO(001),MgO(111),Al_2O_3(001)等の基板上に薄膜を形成した。さらに、薄膜と基板結晶の格子定数のミスマッチを緩和する目的から、AuおよびCuをこれらの基板上にバッファー層として形成した。 MgO(001),MgO(111),Al_2O_3(001)基板上へ直接MnとBiを蒸着した場合、多結晶ではあるがMnBi結晶の成長を確認した。MgO(001)基板上に形成したAu(111)バッファー層上への成長では、(10.2)優先配向膜が得られた。また、MgO(111)基板上に形成したCu(111)バッファー層上の成長では、(10.2)および(11.0)配向の薄膜を形成することができた。しかしながら、完全な単一配向膜は得られていない。この原因としては、バッファ層の表面平坦性が不十分であることや、格子定数のミスマッチが原因であると考えられる。 これらの作製したMnBiの薄膜の磁気特性については、VSMを用いてM-H測定を行った。その結果、200ガウス程度の飽和磁化を持つことがわかった。この値は、これまでに報告のある値よりも一桁程低い。この原因は、結晶性が不十分であることが考えられる。さらに、632.8nmにおけるカーヒステリシスの測定から、0.15度程度のカー回転角を有するMnBi薄膜であることがわかった。
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