研究課題/領域番号 |
10450004
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
佐藤 勝昭 東京農工大学, 工学部, 教授 (50170733)
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研究分担者 |
石橋 隆幸 東京農工大学, 工学部, 助手 (20272635)
森下 義隆 東京農工大学, 工学部, 助教授 (00272633)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | MnBi / MnAs / MBE成長 / 緩衝層 / 磁気光学効果 / 電子ビーム描画 / 集束イオンビーム加工 / 非線形磁気光学効果 |
研究概要 |
本研究では、研究計画に基づき次の3つの課題に取り組んだ。 (1)MnBiをはじめMnプニコゲナイド系磁性体の良質のエピタキシャル薄膜を作製する。 (2)磁性体の微細構造を作製する技術を確立すること (3)非線形磁気光学効果を用いて表面界面の磁性を観測すること。 以下に各項について述べる。 (1)エピタキシャル薄膜の作製:GaAs基板上にMnAsおよびGaAlMnAs薄膜をMBE法でエピタキシャルに作製する技術を確立した。微細構造をもつGaAs上にMnAsを選択成長することができたほか、GaAlMnAsにおいて7%のMnの添加に成功した。MhBiのMBE成長については、MgO(100)単結晶基板上にCu, Auを緩衝層として成長しその上にMnBi薄膜をエピタキシャル成長することを試みた。MgO上にCuを堆積したところ、RHEEDにはストリークが観測され、Cu(100)のエピタキシャル成長が確かめられたが、このCu膜の上にMnBiを堆積したところMnCuBiが形成されMnBiの成長はできなかった。一方、Au(100)を堆積したMgO単結晶基板上にMnBiを堆積したところ、X線回折パターンには2つの回折線が見られエピタキシャル成長しなかった。次に、Mn堆積後にBiを堆積し、チェンバー内でその場アニールすることによりRHEED像にはストリークが現れ、MnBiがエピタキシャル成長することを見出した。このMnBiをシード層としてMnとBiを同時蒸着することによりMnBiエピタキシャル膜を形成することに成功した。この膜は垂直磁気異方性を有し、垂直磁場について角形性に優れた磁気ヒステリシスループが得られた。 (2)磁性体の微細加工技術:2種類の加工技術に取り組んだ。まず、電子ビーム描画装置を用いシリコン単結晶に0.5μm以下の微細な孔を作製し、この孔に磁性体(Co)を堆積しCMP法で研磨して平坦な構造を作製した。最小50nmφの磁性体埋め込みドット配列構造を作製した。また、磁性体膜を集束イオンビーム(FIB)法で直接微細加工し、一辺100nmの正方形ドット配列ナノ構造を作製し、MFMによって磁区を観測することにも成功した。 (3)磁性体の非線形磁気光学効果:磁性人工格子(Fe/Au)の非線形磁気光学カー効果の試料方位角依存性を測定した。この結果、非線形カー回転角はSHG強度と同様、4回対称の試料方位角依存性を見出した。この結果は、非線形感受率テンソルを用いて解析することができた。 この研究では、(1)(2)(3)は別々の物質において行われたが、今後の課題は、(1)の方法で作製されたMnBiについて(2)に述べた微細加工技術を適用するとともに、(3)で述べた非線形磁気光学効果により表面磁性の評価を行うことである。
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