1.平成10年度に構築した偏光顕微光学系を用いて、次世代大口径シリコン基板、Silicon-on-insulator(SOI)基板、Silicon-on-sapphire(SOS)基板の欠陥誘起複屈折の検出を試みた。欠陥検出感度を決定する赤外光検出部としては、赤外フォトダイオードと電荷積分型ADコンバータとを組み合わせて高感度化を目指した独自のシングルチャネル受光系を構築した。その結果、シリコン基板中のgrown-in欠陥、ウェハ研磨時の表面欠陥、SOI作製プロセス誘起欠陥、SOSへテロエピタキシャル層中の欠陥等の検出に成功した。また、これらの実験は本研究費で購入したクリーンブース内で行い、微小欠陥の検出時に問題となるダストの影響を取り除いた。 2.微小欠陥による光像観察のため、偏光顕微光学系をベースに、可変位相板を組み込んだ位相差顕微光学系を構築した。光像受像部には、本研究費で購入した赤外リニアイメージセンサをマルチチャンネル受光部として組み込んだ。本光学系と、平成10年度に構築した可視光用CCD画像処理システムとによって可視・近赤外の光像観察が可能な位相差光学系を完成した。欠陥サイズが光学系の空間分解能より小さい場合には光像はぼけ画像となるので、焦点位置の異なる複数のぼけ画像を撮影して実際の欠陥サイズを求める逆計算が必要となる。このため、焦点位置をずらしながら一連のぼけ画像を撮影するための焦点自動調節機構を設計した。
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