本研究で得られた主な成果を以下に要約する。 ・従来の真空紫外光発生用非線形光学結晶Sr_2Be_2B_2O_7(SBBO)の置換型で、有毒なベリリウム(Be)を含まないK_2A1_2B_2O_7(KAB)の材料開発を行った。 ・KAB結晶の4軸X線構造解析を行い、空間群P321、格子定数a=8.5657(8)Å、c=8.463(1)Åの三方晶の一軸性結晶であることを明らかにした。 ・トップシード溶液成長法(TSSG法)により、結晶育成を行った。溶液の高粘性が良質な単結晶育成を妨げていたため、K_2CO_3とハロゲン化物の添加を行い粘性低下を試みた。920℃において約4200cPの粘性であった溶液に、K_2CO_3成分、NaFを添加し、約1200cPまで粘性を低下させた。KF、LiClの添加でも同様な効果が確認された。 ・溶液粘性等の育成条件を最適化させることで、4×3×2mm^3のバルク単結晶を育成することに成功した。従来の薄板結晶に比べて立方体なものが得られたため、波長変換素子の切り出し、研磨が行えるようになった。 ・紫外領域の吸収端波長が180nmであること、複屈折率が0.074とSBBOの0.062よりも大きいことを調べ、紫外光発生用結晶として有望なことを明らかにした。 ・単結晶を用いてNd:YAGレーザー(波長:1064nm)の第2高調波を行い、タイプ1の位相整合角がθ=28°であることを明らかにした。また、結晶形状と誘電主軸との関係を明らかにした。
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