研究概要 |
本研究は,非線形光学効果である和周波発生(SFG)によるフォトンミキシングを用いて,赤外イメージを可視イメージに効率よく波長変換することを目的としている。 本年度は,イメージ変換に必要な励起光源である赤外〜THz波の波長可変赤外光源に関する研究と,イメージ変換における位相整合条件の理論検討を行った。 波長可変赤外光の発生に関しては,ドメイン反転LiNbO_3結晶(PPLN)を用いて擬似位相整合による光パラメトリック発振器(OPO)の開発を行った結果,1.3〜6.6μmの波長可変赤外光の発生に成功した。PPLNによる6.6μmの発生は世界でもっとも長波長のOPOであり,従来困難と考えられていた6μm域においてもPPLNが利用可能なことを実証したものである。 また,波長が100μm以上のTHz波域においては,台形LiNbO_3結晶を用いたOPO,GaP,CdTe,有機DAST結晶を用いた差周波発生(DFG)により,100〜600μmのTHz波発生を実験的に確認し,その最適条件の検討を行った。 SFGによる1〜6μm域の赤外→可視波長変換では,PPLN,MgO:LiNbO_3,KTP,プロトン交換LiNbO_3光導波路におけるSFG位相整合の解析を行い最適条件を明らかにした。また,THz波域→可視変換では,GaP,有機DAST結晶における位相整合の検討を行った結果,励起光として各々0.9〜1.0μm,1.4〜1.5μmの波長可変光源を用いることにより,100μm〜1mmのTHz波長域においてコリニア位相整合が可能であり高効率なイメージ変換が可能となることを見出した。
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