研究概要 |
本研究では,非線形光学効果であるフォトンミキシング(和周波発生)により赤外〜テラヘルツ(THz)波域のイメージ変換技術を確立することを目的としており,本年度では,赤外→可視イメージ変換用のドメイン反転LiNbO_3(PPLN)の作製技術の開発とその評価と,THz波域におけるフォトンミキシングによるイメージ変換技術の基礎検討を行った。 1) フォトンミキシングによる赤外→可視イメージ変換の研究(谷内哲夫) PPLNを用いると位相整合特性を自在に設計できるために,高効率なフォトンミキシングにより赤外→可視変換が可能である。電界印加法を用いたPPLNの作製プロセスの改良を行い,周期10μm,6.5μmの赤外→可視変換用のPPLNの作製を行った。また,Nd:YAGレーザ(波長1.064μm)およびそのSHG光(0.532μm)を励起光として,PPLNの波長変換特性の評価を行い,3-6μmの赤外を可視光に変換可能であることを実験的に確認した。 2) フォトンミキシングによるTHz波→可視光波変換の研究(谷内哲夫,伊藤弘昌) 波長が100〜300μmのTHzをフォトンミキシングにより可視化するためには,位相整合の関係から非線形光学材料と励起波長の最適化が不可欠である。材料としては,LiNbO_3結晶以外に有機DAST結晶,半導体GaP,CdTe,ZnTe結晶等のTHz波域の誘導特性,位相整合特性,変換効率等の基礎特性の理論的解明を行い,THz波のフォトンミキシングデバイスとしての可能性を明らかにした。
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