研究概要 |
本研究では,非線形光学効果であるフォトンミキシング(和周波発生)により赤外〜テラヘルツ(THz)波域のイメージ変換技術を確立することを目的としている。平成12年度では,フォトンミキシングによる波長変換に関する基礎特性と光導波路特性の解明に重点をおき,赤外〜THz波→可視イメージ変換の実験的検討を行った。 1)フォトンミキシングによる赤外→可視イメージ変換の実験的検討(谷内哲夫) 赤外→可視変換特性を明らかにするために,MgOドープLiNbO_3結晶,ドメイン反転したLiNbO_3,LiTaO_3,KTP結晶等を用いてフォトンミキシングの実験的検討を行った。光導波路は可視域において光ダメージに強いプロトン交換法を用いて作製した。励起光としてNd:YAGレーザ(波長1.064μm)および光パラメトリック発振器(波長0.8〜1.0μm)を用いて,1.5μm〜3μm域の赤外イメージを0.5μm-0.6μmの可視化変換に必要なドメイン反転周期と光導波路パラメータの条件を求めた。また,イメージ変換における空間的分解能の比較を行い,デジタル方式の利点を明らかにした。 2)フォトンミキシングによるTHz波→可視光波変換の実験的検討(谷内哲夫,伊藤弘昌) 波長が100〜300μmのTHz波をフォトンミキシングにより効率良く可視化するためには,コリニア位相整合をとるための非線形光学材料と励起波長の最適化が不可欠である。非線形光学効果の大きな有機DAST結晶と半導体GaP結晶における光波とTHz波の位相整合特性を明らかにするために,差周波発生により光波・THz波変換実験を行った結果,DASTでは1.1μm,GaPでは0.98μm域でコリニア位相整合可能であり,1THz以下ではDAST,1〜2THz域ではGaP結晶がフォトンミキシングデバイスとして優れた特性を有していることを明らかにした。
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