研究概要 |
半導体微小ディスクレーザは,二つの支柱が半導体円形ディスク活性層を支える単純な共振器により,超微小共振器,超低しきい値が可能な素子である.本研究では,研究代表者がこれまで実現してきたGaInAsP半導体デバイスにおける世界最小共振器(直径2ミクロン),世界最低しきい値電流(150マイクロアンペア)の記録を更新し,理論的に予測される自然放出制御の効果を観測することを目的とした.そのため,まず従来のメタン系ドライエッチングを用いた素子加工プロセスから塩素系誘導結合プラズマエッチングを用いたプロセスへと変更した.これにより素子の垂直性,上下対称性が高まり,ディスクを支える支柱からレーザモードが存在するディスク端部へのキャリア拡散の効率が高まった.その結果,従来は非常に困難であった室温連続動作が容易になった.そして最低しきい値電流を従来の約1/4となる40マイクロアンペアヘと大幅に低減することに成功した.また多くの素子の発振特性を調査することにより,ディスク直径,およびディスクの変形と発振性能の間に重要な関係があることを見いだした.次に電流対光出力特性を詳細に調べることで,自然放出制御の大きさを表す自然放出光係数を評価した.その結果,0.1という大きな値を評価した.さらに発信は長の変動より電流対キャリア密度特性を調査し,これからも自然放出光係数0.1を裏付ける結果を得た.この値は従来のレーザのおよそ10000倍であり,電流注入型レーザではこれまでで最高の値となる.
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