研究概要 |
本研究の目的は、超短光パルスを利用して、フォトリフラクティブ結晶やGeドープシリカガラスなどの中に数μm〜10数μm径の損傷部分を形成させ、その屈折率変化の機構解明と、光導波路,分岐路,交差路および微小ブラッグ反射器などの微小光学要素を試作・評価することであった。研究期間に得られたに得られた成果は以下の通りである。 自己束縛フィラメントによる屈折率変化の誘起 フェムト秒チタンサファイアレーザー光パルス(波長:800nm)をシリカガラス中に集光し、生成される自己束縛フィラメントを用いて、屈折率変化を誘起した。屈折率変化部分は直径約2μm、長さ数十〜数百μm,最大屈折率変化0.01であった。 複屈折性微小光学素子の作製 自己束縛フィラメント部分を走査することにより減衰の少ない光導波路(コア径2μm,長さ2mm)を作製した。直線偏光のレーザー光パルスにより屈折率変化は複屈折性があることがわかった。また,複屈折性をもつ回折格子を作製し評価を行った。 ボイド移動および結合 レーザー光パルスをレンズで集光し、ボイドを生成した。ガラスを劈開し、空隙部分の断面をSEMにより観察し、直径1μmの空隙の存在を明らかにした.また,集光点の移動と超短光パルスの露光を繰り返すことにより,ボイドを約5μm光軸に沿って移動させることに成功した。また、光軸上の2つのボイドを1つのボイドに結合させることにも成功した。 上記の結果は、学会誌に投稿済み(Opt.Lett.)、あるいは準備中である。また、ボイドの移動と結合、誘起導波路の作製方法の2件については、科学技術振興事業団を通して特許申請中である。特にボイドの移動に関しては、Laser focus World誌(Volume:37 Issue:2 2001)にも取り上げられた。 以上の成果は直ちに屈折率変化の機構解明とはつながらないが、機構解明へのいくつかの手がかりを提案している。
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