研究概要 |
1.平成11年度の研究計画 1) Cr-フィラメント成長条件の確定:ナノフィラメント生成が既定の事実であるCrに対し、フィラメントの生態・構造・成長速度と各種成長条件の相関を明らかにする。 2) 強磁性体フィラメント:強磁性体ナノフィラメントは、ナノ磁石実現への第一歩となることを踏まえ、Fe,Co,Niナノフィラメントの作製に挑戦する。 2.成果概要 1) 以下の条件下で、Crフィラメント成長速度は最大となり、0.5μm/minにも達する。 C_2H_2圧:0.2Torr。 基板-陰極間電圧:50V。 基板温度:1000℃ 2) Co,Niのナノフィラメントが得られているが、その長さは、最大0.1μmであり、未だ改善の余地が残る。目下、最適成長条件を検索中である。 3) 以上に加えて、以下の予想外の成果が得られている。 a) 外部磁場が存在すると、ナノフィラメントではなく、三次元金属微結晶を内包するカーボンナノケージが成長する。(Appl.Phys.Lett.74(1999)3726)。 b) 上記カーボンナノケージは、しばしば開口端を有し、そこからグラファイトの"原子フィラメント"の気相成長がおこる(Appl.Phys.Lett.76(2000)161)。 c) カーボンナノケージ壁の内側に、0.17μmの間隔を持つ結晶格子が形成される。この、0.17μmの格子間隔は、グラファイト最短格子間隔である(002)-Spacingの1/2に相当し、未知のカーボン結晶相の存在を示唆している(Phys.Rev.Lett.投稿準備中)。
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