研究概要 |
本研究は、離散的な電気伝導示すことが期待される金属内包カーボンナノチューブ(CNTs)の合成手法の開発を意図したものである。計画年度内に得られた成果の概要は以下の通りである。 1)電界陽極成長(FAG) FAG型CNTsは、金属によって完全に充填されることは比較的稀ではあるが、10〜15μmの長さにわたってCrと内包したCNTsも散見された。またCNTsは、基板表面より自由空間に向けて伸長するのが一般的であるが、隣接CNTsの橋渡しをする"bridge型"CNTs及び、CNT側面を成長基板とする"Child型"CNTsの存在も確認された。 2)陰極成長(FCG) FCG型CNTsは、Fe,Co,Niを触媒として成長し、その先端は常に、金属ナノ結晶によって占められる。FCG型CNTsの最大の特徴は、電気力線に沿って成長し、いわゆる"aligned CNTs"になり得ることである。この事実は、CNT電界電子源をつくる上での決定打となり得る。事実、我々のaligned CNTsを電子源とする小型X-線管の組み立てに成功し、その結果はアメリカ物理学会誌"Applied Physics Letter"4月23日号に、掲載が予定されている。 3)最新の成果 FCG型CNT成長は、Fe,Ni,Coのpre-depositionを必要とするが、本研究の最終段階において、Pd(パラジウム)もCNT成長を触媒促進することが確認された。この種のCNTsは、Pd結晶を頂く。近々、この手法で得られるPdナノ結晶の、水素吸蔵挙動の解明に向けた実験が、当研究室においてスタートすることになる。
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