研究課題/領域番号 |
10450039
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物理学一般
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研究機関 | 東北大学 (1999-2001) 岡崎国立共同研究機構 (1998) |
研究代表者 |
浜 広幸 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70198795)
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研究分担者 |
田中 均 高輝度光科学研究センター, 放射光研究所, 主幹研究員
江田 茂 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (50311189)
神藤 勝啓 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80322999)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 自由電子レーザー / 電子蓄積リング / 縦方向位相究間 / 光クライストロン / ポテンシャル井戸歪み効果 / マイクロ波不安定性 / 位相検出 / 2色実験 |
研究概要 |
電子蓄積リングにおいて、光クライストロン型アンジュレータを用いた自由電子レーザー(FEL),と電子の縦方向の位相空間分布について関わりを調べてきた。蓄積リングのポテンシャル井戸歪み効果1を生ずるインピーダンスを抵抗とインダクタンスに分離して分布関数を数値的に求めた結果、測定した電子の空間分布を良く再現することが分かった。これを踏まえてFEL発振のシミュレーション計算を行ったところ、蓄積リングが負の運動量収縮因子を持つ場合、FELパルスは大きな強度に成長することが分かり、マイクロ波不安定性によるエネルギー広がりが増大したような場合でもFEL発振は正の場合と殆ど変わらず、平衡状態のFEL出力はほぼ同じレベルになることが示唆された。 蓄積リングFELにおいて、熱変形による反射鏡の歪みや振動による光共振器の状態変化はFEL発振を不安定にし、マクロ時間構造を変えることがストリークカメラによって観測された。安定したFEL発振を得るためには、電子バンチとFELパルスの同期性を一定に保つ必要がある。電子バンチとFELの時間的なずれを、周波数空間で狭帯域フィルターを通して測定した高調波成分の位相検出よって抽出し、これに基づいてRF周波数を調整するシステムを構築し、FEL発振を格段に安定化することに成功した。 FELの安定化によって発振時の様子が詳細に測定できるようになり、ポテンシャル井戸歪み効果を取り込んで電子バンチ長からFELこよって増加したエネルギー広がりを測定できた。バンチの伸長の程度は一見大きくないが、エネルギー広がりはずっと大きくなっていることが分かった。しかしながら、なお理論計算から得られるエネルギー広がりとFEL出力の関係と実験データは有為に一致していないにとが結論された。理論計算で用いたモデルの近似に問題を孕んでいる可能性があり、更に実験データ解析を深め、理論モデルの修正を行う課題が残る。 光共振器用反射鏡の最適化も試みており、可視波長ではあるが、適切な材質を多層膜に採用し高反射率と低吸収率を実現し、蓄積リングFELとしては世界最高出力である0.5W以上を取り出すことに成功した。引き続き、放射光とFELの同期を利用した2光子吸収、所謂2色実験によって気体分子の光解離の応用研究を始めた。
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