研究概要 |
平成11年度は逆問題解析によるき裂寸法・閉口圧の評価と検証について検討し,10年度の研究を発展させ,所期の目的を達成した。 1.微妙な深さの二次元閉口き裂による検証の充実 10年度に引き続き種々の条件で微小な深さの二次元閉口き裂を有する試験片を作製し,微小入射角による斜入射超音波探傷に供して受信強度分布を得,先に構築している閉口き裂に対する微小入射角を用いた斜入射超音波応答の理論モデルと照合してき裂深さと閉じ具合を評価し,破壊観察との比較を実施して検証を充実させた。 2.微小な三次元閉口き裂への展開 基礎としての二次元き裂による検討を踏まえ,実用上の大なる課題である微小な三次元閉口き裂問題に入った。微小な三次元き裂では二次元き裂の場合あるいは大きなき裂の場合と異なり,音場の一部でき裂が捕らえられることになる。この状況を考慮して上記のモデルを補正する方法について検討した。ここで同補正にき裂長さとき裂形状の情報を新たに導入した。 3.微小な三次元閉口き裂による検証 微小な三次元閉口き裂を有する試験片を種々の条件で作製し,上記2.のモデルと照合して逆問題を解析した。 以上,閉じた微小き裂の寸法を正確に非破壊評価し,重ねて閉じ具合の非破壊評価をも可能とする高感度超音波探傷手法の原理を構築した。機器・構造物の定期検査は運転を停止した状態で行われ,そのためにき裂は閉じた状態で非破壊検査に供されることが多いが,本研究によりその対策の鍵となる基礎が開拓された。
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