研究概要 |
本研究では,広範囲の用途に対して開発され使用されるようになってきている多相系高分子材料について,その機械的性質のなかで特に破壊じん性について注目して研究を行った.まず,ABS樹脂ならびにその構成材料であるPS樹脂,AS樹脂について,破壊挙動に及ぼす吸湿の影響を調べ,ゴム粒子の破壊,クレーズの発生といった破壊過程を明らかにした.つづいて,モードIに加えてモードIIが重畳した混合モード荷重下におけるき裂の初生から進展に至る挙動を詳細に観察するとともにゴム粒子の粒径分布の影響を調べ,1山タイプのものよりも2山タイプの粒径分布の方が高いじん性を有することを見いだした.さらに,種々の構成比のPC/ABS樹脂について,延性破壊挙動に及ぼす応力3軸度の影響および衝撃破壊靭性について調べ,PC/ABSの構成比が80対20の場合が最も優れた特性を有し,この構成比ではPC相のなかにABS相が島状に点在するモルフォロジーとなっていることを明らかにした.
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