熱疲労強度評価法に関しては、はんだマイクロ接合部の熱疲労強度はManson-Coffin則によって評価できるとの研究結果が多く報告されている。そのため、本研究で対象としているPbフリーはんだにおいてもManson-Doffin則によって熱疲労強度評価を行うという方針で研究を進めた。対象としたPbフリーはんだはSn-3.5Ag-0.75Cu、Sn-2Ag-7.5Bi-0.5Cu、Sn-3.5Ag-5Biの3種類とした。 はんだ材は一般的に融点が低く(200℃前後)、また試験の際に最高で125℃まで温度が上昇することからクリープの影響が考えられるが、有限要素解析結果からクリープの影響が極めて少ないことが確認された。また、クリープの影響をほとんど受けないPbフリーはんだだが、有限要素解析結果からひずみ速度の依存性のある材料である事が確認された。 次に熱サイクル疲労試験法の加速試験として機械的疲労試験法を選定し、試験を実施した。また、試験時にははんだ接合部においてどのような応力-ひずみ挙動が生じているのかを明らかにするために、有限要素解析を行った。それらの結果を元に、Manson-Coffin則によってPbフリーはんだマイクロ接合部の疲労強度評価を行う事が出来た。 また、熱サイクル試験を実施し、その結果を機械的疲労試験で得られた疲労寿命曲線と比較したところ、概して一致しており、機械的疲労試験法が熱サイクル試験法の加速試験として有効であることが確認された。 そして、Pbフリーはんだマイクロ接合部と共晶はんだマイクロ接合部の疲労寿命強度を比較した結果、Pbフリーはんだマイクロ接合部の疲労寿命強度が共晶はんだの疲労寿命強度よりも若干優れている可能性があることが確認された。このことから、Pbフリーはんだは共晶はんだにとって代わる代替金属として有効であると考えられる事が分かった。
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