研究概要 |
本研究では,非線形表面波を用いて,構造用金属材料,高分子樹脂材料表面に発生した損傷及び劣化を初期段階で検出し,その損傷度・劣化度を定量的に評価する方法を確立することを目的とする. 研究初年度の平成10年度では測定システムの構築及び大振幅超音波の透過波形ひずみ計測を実施した.主な成果を以下に示す. 1 非接触で固体表面上の面内及び面外変位を測定できるレーザー干渉計を用いて,超音波波形をデジタル収録するシステムを構築した.周波数10MHz,振幅数nmの波動を加算平均により高S/N比で超音波波形を収録できる. 2 上記装置を用いて通常の接触式超音波センサーの励起電圧と試料表面変位の関係を求め,両者が比例することを確かめた. 3 材料非線形性を示すポリエチレン系ゲルの円柱試験体に周波数5MHz・振幅10nm程度のバースト波(40波)を入射したとき,理論予測のように,基本波振幅に対する2次高調波振幅の比が基本波振幅,伝搬距離に比例し増大すること,圧縮側の伝播速度が引張側より大きいことを明らかにした. 4 周波数5MHz・振幅10nm程度のバースト波を平均粗さ30nm程度のアルミニウムブロックの接触界面(不完全接触面)を透過させ,透過波形を収録しその波形ひずみを求め,基本波振幅に対する2次高調波振幅の比が圧縮応力の増加に伴い減少すること,基本波振幅の増大により引張側の透過波振幅が減少することを明らかにした.
|