研究概要 |
本研究では非線形超音波を用いて,各種構造材料表面及び内部に存在する入射超音波振幅と同程度の大きさの微視き裂集合を検出する方法を確立し,初期の損傷劣化度を定量評価することを目的とする.本年度の研究で得られた主な知見を以下に示す. 1.Nd-YAGパルスレーザー(1062nm,230mj,7ns)により,バルク波(縦波・横波),表面波,Lamb波を励起し,それにより励起された数MHzの超音波波形をヘテロダイン式レーザー干渉計により収録するデジタルシステムを構成した.100回程度の同期加算によりエメリー紙で磨いた面上でバルク波の超音波波形を忠実に収録でき,各波の伝搬時間を1%程度の誤差で測定できることを確認した. 2.上記干渉計の差分モードを用い,デジタル波形処理を組合わせることにより,10ないし100mm程度離れた2点間を伝搬する各種モードの波の伝搬速度を完全に非接触で1%以内の精度で測定できることを確認した.従来の1点での変位検出ではLamb波速度の高精度測定が困難であるが,差分モードにより容易に各モードの群速度を測定できる. 3.接触法で5MHzのバースト波を入射し10MHzの2次高調波成分を検出することで,スポール損傷により中炭素鋼(S45C)板材内に生じた,開口量0.1ミクロン以下の微視き裂集合の有無を評価できる.
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