研究概要 |
レーザ光を水存在下で固体に照射すると固体表面が加熱されるばかりか,高温の水との反応や水が分解されて生じるラジカルと気体との反応が期待できる.本研究ではこのような反応を期待し,cBNの水熱加工を行おうとするものである. そこで,脱気した超純水,水にメタン,水素,酸素を溶存させ,これにエキシマレーザ光(193nm),YAGレーザ光を照射して,ポリクロメータで活性種の発生状態を測定するとともに,写真により発光を観察した.その結果,エキシマレーザ照射により水の構成元素ラジカルの生成を確認するとともに,メタンを溶存させた水では水面に膜が生成されることを見いだした. そこで,この膜の生成条件を追求するとともに,膜の性質について種々の測定を試みている.現時点で完全に明らかにされたわけではないが,DLC膜であることを確認している.水面上でしかも広範囲での製膜であり,さらに検討する必要がある. これと平行して,大粒の単結晶cBNに水中でエキシマレーザ光を照射し,照射部を顕微鏡により観察した.空気中での照射では亀裂の発生が観察されるのに対し,水中での照射では亀裂の発生は観察されない.しかし,水中での照射では焦点位置の確認が難しく,この点を改める必要がある.なお,これに対する案として,飽和水蒸気圧下でcBNを冷却して照射する方法を準備している. 以上のように,水雰囲気でレーザ照射した場合の諸現象が明らかにされつつあり,来年度の計画を遂行する上で有益な成果が得られたものと考えている.
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