研究概要 |
超精密工作機械による切削加工の加工精度の向上を行うために,工作機械の熱変形に関する研究を行っている.本研究では,超精密工作機械の熱変形に最も影響を与える外部熱源として周囲気温の変化を,また内部熱源として主軸の回転に伴うモータの発熱とエア軸受部の摩擦熱を考慮している.ここでは,これらの影響を定量的に明らかにし,加工中の熱変形による加工誤差を補正するための方法論の確立を目的としている.本年度は,以下の項目について研究を行った. (1) 周囲気温の変化が超精密工作機械の主軸系におよぼす影響 0.1℃以下の精度で環境温度を制御し得る恒温室内において,人為的に気温を変化させた場合の主軸系の熱変形特性を定量的に明らかにし,両者の間の伝達関数を求めて,気温変化から熱変形量を推定するための手法を検討した.ここでは,主軸回転数の変化が主軸表面の熱伝達特性の関係に着目し,特性の変化を定量的に考慮することができる推定モデルを提案した. (2) 工作機械の駆動に伴う内部発熱が熱変形におよぼす影響 工作機械の主軸系の駆動に伴うモータの発熱,エア軸受での空気摩擦による発熱によって生じる熱変形を対象に検討を行った.特に主軸・工作物テーブル間の相対的な熱変形をステップ熱入力によって応答としてとらえ,駆動エネルギーと変形との関係を定量的に記述し,変形量を推定するための手法を提案した.
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