研究概要 |
まず本研究では,ゾル・ゲル法によるコロイダルシリカスラリーの製造法を追究し,実用性に十分耐え得る合成技術を確立した.ここでは特に,粒子径のコントロールに工夫を凝らし,極めて粒径分布幅の小さいシリカスラリーの製造を実現した.次ぎに,シリコン酸化膜(SiO_2)の研磨実験により,CMP現象について,次ぎに挙げる幾つかの所見を得た: (1) 砥粒の含まないスラリー溶液だけでは,工作物(SiO_2)の研磨作用は生じない.すなわち,パッド自体が研磨作用を有するという可能性は見出されなかった. (2) フッ素コートしたパッドでは,一般の研磨スラリーを用いても研磨作用が発生しない. (3) 研磨量は研磨荷重の大きさに対して比例増加の傾向を示すが,小荷重領域では,この傾向は必ずしも明確に認められない. (4) 一般的には,あるpH値(10前後)以上になると,研磨作用が急速に助長される.しかし,パッドの材質によっては,低いpH(酸性)値でも研磨作用は生じる. (5) 工作物(SiO_2)はパッドに吸着された砥粒によって研磨されていると結論できる. (6) ヒュームドとコロイダルシリカでは,pHによる研磨作用の影響度合いがかなり異なる. (7) CuやAl材質でも,アルカリ性スラリー(高pH値)によって研磨できる. 以上の研究結果を手掛かりにすれば,ヒュームドシリカスラリーによるシリコン酸化膜のCMPメカニズムがかなり具体的に予測できる状況までに至ったと言える.
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