近年、マイクロマシンやバイオ工学の分野において、モータや機械部品のマイクロ化とメカトロニクス化が進み、一部は製品化されるようになってきた。またセンサやプロセッサはすでにマイクロ化が進んでいる。これにより高度な機能を持った微少機械システムを開発できる可能性がでてきた。機械システムの製作には、組立だけでなく特殊部品の製作、部品取り付け用の穴あけなど、加工を行う必要がある。従来、各所でマイクロマニピュレータの研究がなされてきたが物体のハンドリングに力点が置かれている。一方、従来の工作機械は精度的には十分な場合も多いが、微少なワークを加工するのに適していない。 このような問題を解決するため、本研究では組立と機械加工の両作業が可能なマイクロマニピュレーション用ハンドの開発を目指した。ミクロの分野においても力制御が重要である。磁気を用いた非接触直接駆動によって微妙な力操作が可能であることは認識されているが、本研究では、加工にも耐えるような高い剛性が得られるように、一部自由度をリンク機構で拘束するとともに、直接駆動の自由度については、強力な永久磁石と電磁石によって可動範囲の大きな電磁アクチュエータ用いることとした。また複雑な作業を実行できるように、3自由度の平行運動指2本でハンドを構成することとし、それぞれ特徴を持った2種類の機構を設計した。さらにハンドの制御系として、位置制御に関しては摩擦等の外乱を効果的に補償できる制御系を実施し、力制御に関してはインピーダンス制御を実施した。最後に、これらを総合して実際にマイクロ操作実験を実施して評価を行った。1本指による接触製図作業、2本指による把持を通じての物体ハンドリング、穴あけ、ワイヤ通しの作業を実現することができた。
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