前年度には、マイクロ可変絞りを持つ可変絞り型静圧スラスト軸受において低粘度潤滑剤を使用した場合における静的および動的特性を理論的、実験的に明らかにした。結果として低粘度潤滑剤を用いた場合には、潤滑剤流量が増し潤滑剤の慣性力の影響が大きくなることが分かった。また慣性力の影響により、無限大静剛性を示さなくなることも明らかになった。 そこで本年度は、まず、低粘度潤滑剤を用いた場合においても無限大静剛性を達成できるようにするために、慣性力の影響を小さくできる軸受構造の検討を行った。その結果、従来絞りとして用いていた毛細管絞りを多孔質絞りとすることにより、毛細管入り口で生じていたオリフィス絞り効果を抑制でき、無限大静剛性に近い値が得られることが分かった。このことをもとに、多孔質絞りを用いたマイクロ可変絞り型静圧スラスト軸受の静的、動的特性を理論的に求め、設計指針の確立を行った。さらに、マイクロ可変絞りを静圧ジャーナル軸受に適用するための軸受構造の検討を行い、その特性を理論的に求めるとともに、実験的にその有用性を確認した。なお実験に際しては、基本的な回転時特性を知るために、絞りはマイクロ可変絞りとしない方式で行った。
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