研究概要 |
本研究は,小水力エネルギーの多目的利用を提案し,各利用目的に最も適した高効率エネルギー回収システムおよび運転制御法を基礎的に研究することにより,小水力エネルギーの高効率利用法を総合的に提案しようとするものである. 昨年度までの研究・調査により,一般に中〜低落差で得られる小水力エネルギー資源に対しては,その高効率利用に対する一手段として,構造がシンプルであるクロスフロー水車の利用が適当であると考え,研究を行った.種々の落差と流量の組み合わせに対する性能を総合的に検討し,また比較的未開な地での利用を考慮してより簡単な構造を目指し,ガイドベーンを用いないなどして流路形状を変更した装置を用いて変落差・変流量特性について実験的に調べた. 本年度は昨年の研究を引き継ぎ,流量範囲をより広げ,低落差および高落差における変流量・変落差特性について調べた.その結果,落差で無次元化された無次元回転数に対して,効率曲線は一つの曲線で表され,最適な無次元回転数が存在することを見いだした.また,ランナ室内の流れ場を調べ,変流量・変落差における流動状態について把握した.更に,多目的利用に応じて要求される電力,あるいは動力の質の調査から,小水力発電で必要と考えられる変落差・変流量に対する発電特性に対する制御法を検討するために,三相交流発電機,ダミー負荷で構成される発電システムを構築し,小水力発電システム全体としての解析を行った.
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