超音速流よう素レーザーの特性を把握し、その性能を向上させることを目的とし、1.よう素と酸素の混合促進を模擬したメタン噴流拡散火災の音響励振実験、2.流れと出力特性の数値シミュレーション、の両面から研究を行った。それぞれの項目について得られた知見は以下のとおりである。 1.メタン噴流拡散火炎に音響励振を行うことにより、火災形状の変化とその変化流速が低速へ移行する現象が見い出された。流速を減少させた場合、浮き上がり火炎保持領域の拡大と、その領域で断面が楕円形に変形した火炎、さらに分岐火炎が観察された。ストローハル数0.15〜0.6の周波数―噴流領域において、燃焼噴流内部の蛇行と非燃焼噴流の乱流遷移の変化が観測された。 2.三次元圧縮性ナビエ・ストークス方程式をよう素レーザーの化学モデル、波動および幾何光学モデルと連立させて解き、流れと出力特性を評価した。その結果、Qスイッチ発振を正確に評価する化学モデルの構築の重要性が明らかにされた。Qスイッチ発振の様な早い現象を正しく評価するには、上位および下位レーザー準位の微細構造間の緩和や速度緩和のモデリングが重要である。また、流れの三次元性はパルス出力の低下を招くことも示された。
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