研究概要 |
本研究は,燃焼学的に未開拓な高圧乱流燃焼の基礎現象解明を目指し,4.OMPaまでの,一定圧力・高圧雰囲気中に保炎された乱流予混合火炎を研究対象とする.1)高圧下の乱流火炎構造の詳細な観察,2)火炎面積密度およびフラクタル特性値に対する圧力効果,3)高圧下の乱流燃焼速度と上記2つの特性値,乱流スケール・乱れ強さ等の乱流特性との関係を明らかにすることを目的とする. 本年度は,火炎の瞬時断面像観測を行うOH-PLIF法を高圧乱流火炎に適用するための基礎実験を行った.はじめに,高圧容器内に層流ノズルバーナを設置し,大気圧から1.0MPaまでのメタン-空気定在火炎に対してNd-YAGレーザーによりポンピングされるOPO波長可変レーザーでOHラジカルの(0,0)バンドおよび(1,0)バンドを励起し,OH-LIF強度と圧力との関係を調べた.レーザー線幅および吸収スペクトルのブロードニングの影響を考慮したシミュレーションも併せて行い実験結果と比較した結果,1)圧力の増大に伴うLIF強度低下は吸収スペクトルブロードニングの影響が大きいこと,2)励起レーザーの線幅が大きいと線幅が小さい場合に比べてLIF強度は小さいが,圧力増大に対するLIF強度低下も小さくなること,3)雰囲気圧3.0MPaでは線幅の影響がほとんどなくなることが分かり,実験結果と良好な一致を示した.これらのことから,吸収線スペクトル分布と励起レーザースペクトル分布のオーバーラップを計算することにより高圧下のLIF強度低下を見積もることができることが分かり,計測条件に対する指針が得られた. 続いて,乱流予混合火炎のOH-PLIF可視化に対して最適な条件を明らかにするため,LIFスペクトルを分光器により測定した.その結果に基づき最適な光学フィルターを選定し,更に,集光力の高いマクストフテレスコープを使用して3.0MPaまでのOH-PLIF可視化実験を行った.1.5MPaまでは鮮明な画像が得られたが,2.0MPa以上では燃焼ガス中の水蒸気凝結によるミスト発生により像の鮮明度が低王することが判明し,装置改良の必要性が明らかになった.
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