| 研究概要 |
シャープターンをもつ矩形断面流路内の乱流では,ターン通過時に遠心力の影響により二次流れが発生するとともに,内壁(隔壁)先端付近で流れのはく離・再付着が起こるため,3次元かつ非定常な流動特性を示す.また,こうした流動特性の影響を受けて,壁面上の局所熱伝達率も非常に複雑に変化する.本研究では,PIVおよびLDVを用いて流路内の複雑な流動特性を測定するとともに,ナフタレン昇華法により各流路壁面上の局所熱(物質)伝達率を測定し,両者の相関からシャープターン流路における伝熱のメカニズムを明らかにすることを目的とした.
まず,180^。シャープターンをもつ矩形断面流路において,種々の実験条件のうちターン部の間隙と隔壁の傾斜角度が局所伝熱特性に及ぼす影響に注目し,流路全壁面上の局所熱(物質)伝達率をナフタレン昇華法で測定した.その結果,ターン内からターン下流領域における複雑な局所熱伝達率分布と,伝熱特性に及ぼす上記のパラメータの影響が明らかとなった.
次に,PIVによりターンとその下流における流動特性の測定を行い,ターン内コーナー部における再循環領域,ターン下流における二次流れ,ターン下流の隔壁上に形成されるはく離泡と流れの再付着,再付着後における流れの偏りなど,比較的大規模な流れ場の構造を明らかにした.このPIVによる結果を参考にしながら,局所伝熱特性が特に人きく変化したターン部の流路端面,ターン下流の内・外壁近傍において,LDVによる詳細な平均および変動速度場の測定を行った.この測定結果とナフタレン昇華法による局所伝熱特性の測定結果とを比較・検討することにより,ターン後の伝熱に対しては各壁面に垂直方向の平均速度成分による寄与が大きいことを明らかにした.
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