研究概要 |
本年度については,昨年度製作した主流方向に対して斜めに噴出する噴流ノズルならびに共鳴音発生ノズルを用いた衝突噴流の本格的な流れ場の可視化,断面内速度分布の計測ならびに熱伝達実験を行った.その際,前年度導入した備品の一部であるパルスレーザーや,CCDビデオカメラ,感温液晶などを最大限に利用した.また,流体の自励振動現象による共鳴音発生噴流に対しては,圧力センサーおよび熱線風速計とFFTアナライザーを組み合わせて,スペクトル解析も行った.実験パラメータとして,斜め噴流ではクロスフロー流速ならびにそれに対する噴流流速比VRを変化させ,共鳴音発生噴流では噴流流速ならびにノズル各部の寸法を変化させた.結果として,斜め噴流の場合には,大規模なスケールの一対の縦渦が観察された.この渦対は実験と並行して行われた同様に系に対する三次元数値解析によってもシミュレートすることができた.また,従来の垂直噴流に対する斜め噴流の構造上の相違点,優位性についても検討を加え,VR値に依存して斜め噴流の平均熱伝達率が垂直噴流のそれを上回ることを明らかにした.さらに複数の斜め噴流によって発生する縦渦についても可視化実験を行い,噴流ノズルの相対的な位置関係に対して縦渦どおしの干渉の様子ならびにそれらによる伝熱促進領域が明らかになった.一方,共鳴音発生噴流の場合には,共鳴音の発生しない場合と比較することにより,両者の流動様式および衝突熱伝達特性の違いを明らかにした.この共鳴音の発生には外部からのエネルギー供給を必要としないが,ノズル先端部のカラー部長さを若干調整しなければならない.しかし,そのことの熱流動場に対する影響はほとんどなく,むしろ音発生の有無が噴流構造,衝突熱伝達率に大きな影響を与えていることが分かった.発生音の周波数を基準にとったストローハル数が約0.3の場合にそれが最も顕著であった。
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