研究課題/領域番号 |
10450089
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
猪岡 光 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20006191)
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研究分担者 |
佐川 貢一 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (30272016)
石原 正 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (10134016)
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キーワード | 非線形制御 / 手動制御 / 人間オペレータ / ジョイスティック / 振り子 / 計算機支援 |
研究概要 |
本年度は、非線形制御問題を実時間シミュレータによる手動制御実験で解くための実験装置の開発と、手動制御が容易に実行できる条件について検討した。 実験装置は、非線形制御系を実時間で計算するためのコンピュータと人間の制御に用いるジョイスティックからなる。ジョイスティックの出力は12ビットのADコンバータにより100ヘルツの速さでコンピュータに取り込み、制御系の入力として計算の過程に使用する。人間への表示は、誤差のみを棒グラフ状に示す場合と、振り子などのアニメーションにて示す場合の2種類を用意した。 人間の基本的な制御特性を調べるために、簡単な目標信号に対する追随を目的とした繰り返し制御実験を実施した。人間オペレータは5秒の試行を繰り返し実行する。前回の試行における制御入力はコンピュータに記憶し、新たな試行では、人間オペレータは前回の制御入力の修正だけを行なう。10〜20回の試行で制御誤差は十分小さくできる。しかし、誤差の周波数分布が高調波に片寄っていくと、人間オペレータは良い制御ができないことが分かった。また、ジョイスティックのゲインと表示のゲインも制御成績に大きい影響を与えることも明らかになった。 解析的に取扱いができない非線形制御問題の例として、2本の振り子を同一のトルクで振り上げる問題を取り上げ、手動制御実験を行なった。2本の振り子をアニメーションで示し、ジョイスティックの出力をトルクとして扱う。人間オペレータにとって2本の振り子の動きを同時に制御するのは極めて困難な課題であり、練習を繰り返しても成功できなかった。そこで、先に頂点に到達する短い振り子のエネルギーをコンピュータで計算し、頂点を通過し回転する可能性があるとき、トルクを自動的に小さくするという支援を加えた。このような計算機支援のもとで、人間オペレータは2本の振り子を同時に頂点に振り上げるトルクパターンを見い出すことができた。計算機支援の方法はいろいろあるので、さらに検討する予定である。
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