研究概要 |
複雑な非線形制御問題を手動制御にて解くことを試み,人間が容易に解を見い出せるような条件を実験的に検討した。主な結果は以下のようになる。 1.手動による繰り返し制御を行い,誤差の収束と共に画面表示の拡大率を上げると同時にジョイステイックのゲインを適当に下げることにより,精度がよい制御が実現できることが分かった。また、最初の試行においては,似たパターンをもつ制御問題の解を使用することにより,より早い収束が期待できる。 2.台車に取り付けた2本の振り子の同時振り上げ制御においては,台車の位置や速度などに制限が存在する。そのような複数の拘束条件を人間が常に考慮するのは困難なので,計算機による支援を試みた。人間の発生した制御入力を計算機で調べ,与えられた拘束条件を満足するように制御入力の修正をする。このような方法で,極めて困難な2本の振り子の同時振り上げに成功した。 3.手動制御を実行するときに人間に与える情報の形式について検討した。単に誤差の現在値のみを表示したときは,複雑な非線形系制御の実行はほとんど不可能である。しかし簡単な制御問題では,極めて良い精度の制御が可能である。制御対象の動きをアニメーションで表示すると,人間は加えた入力と対応する動きから,制御対象の特性を容易に理解することができるため,短時間での問題解決が可能である。しかし,精度を上げるのは困難である。したがって,制御問題に適した情報の提示が重要である。
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