研究概要 |
質量振動式測定装置の設計・試作を行った.試作した装置は,つぎのような構造となっている.弾性支持された試験台には,吸振質量とアクチュエータからなる能動形動吸振器と,慣性質量とアクチュエータからなる加振機構とが取付けられている.測定対象物は,吸振質量または慣性質量に付加される.動吸振器および加振機構において,各質量を駆動するアクチュエータとしては,バイモルフ形圧電アクチュエータを用いた. つぎに,制御システムを構築した.提案する質量測定装置では,試験台の振動を何らかの方法で零にした状態での吸振質量の振動振幅から測定対象物の質量を求める.振動を止めるのにいろいろなアクティブ制御に手法を適用することができる.本研究では,つぎの二つの方法について検討を行った. (1)フィードフォワード制御. (2)外乱同期信号を利用した出力レギュレーション制御. これらの制御則を実装するには,DSPを核とするディジタルコントローラを使用した.実験の結果,方法(1)に比べて,方法(2)の方が試験台の振動を確実に止めることができることがわかった. つぎに,吸振質量にさまざまな質量を持つサンプルを取付け,質量の測定を行い,試作した質量測定装置による測定精度を実験的に調べた.その結果,かなりの精度で質量が測定できることがわかった. さらに,試作した質量測定装置では,加振用の慣性質量に測定対象物を取付けて質量測定を実施することもできるので,このような場合についても質量測定実験を行い,測定精度を評価した.
|