研究概要 |
本研究は,動吸振器を測定機構として利用することによって,無重力環境下で高精度の測定ができ,かつ柔軟構造物中で使用しても振動を引き起こすことがない質量測定装置の開発を行った.開発する装置の測定原理は, (1)遠心力を利用する方式 (2)振動を利用する方式 に大別することができる. 遠心力を利用する方式では,不つり合い測定の原理を質量測定に応用したもので,つり合いのとれた回転テーブルの所定の位置に測定対象物を取付けて回転させ,遠心力によって引き起こされる振動を動吸振器によって吸振し,この状態での吸振質量の振動変位の大きさから測定対象物の質量を求める. 振動を利用する方式では,測定対象物を動吸振器の吸振質量に取付け,適当な加振力を加えることによって生じる振動を動吸振器によって吸振し,この状態での吸振質量の振動変位の大きさから測定対象物の質量を求める. 本年度は,まず,前年度までに実施した実験結果を検証し,不足しているデータがあれば,追加実験を実施して,これらを補った.特に,質量測定の各方式について,測定対象物,測定環境などの条件を同一とした場合について質量測定実験を実施した.つぎに,各方式で得られた実験結果を定量的に比較し,無重力環境下・柔軟構造物中での高精度の質量測定に最適な方式に関する知見を得た.また,研究成果の一部を日本機械学会論文誌に投稿し,成果の普及を図った.さらに,これまでの研究成果をまとめて,研究成果報告書を刊行した.
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