本研究の目的は、レールや転がり軸受に発生するコルゲーション現象を念頭にして、力学モデルを構築し、接触問題の解明のための物理モデルを検討することである。鉄道レールでは、多くの枕木と弾性体であるレールが締結された構造を持っており、転がり軸受においても同様に、柔軟体を含むマルチボディ・システムとなっている。そこで、フレキシブル・マルチボディ・ダイナミクスの手法を用いて力学モデルを構築し、コルゲーション現象の解析、解明を行う。 本年度は、次の2点について行い、以下の成果を得た。先ず、現有設備である2つの車輪を転がり接触させる回転試験機を用いた試験を行い、実験的に現象の解明を進めた。本年度は、試験機の力学モデルの同定に成功し、数学モデル構築に対する基礎が固まった。 さらに、弾性レールが枕木で不連続に支持され、その上を車輪が転がる状態を、フレキシブル・マルチボディ・システムとしてモデル化を行った。線形有限要素法および非線形有限要素法による解析手法を構築し、その差異などを検討した。また、構築したモデルの有用性を検証するために、新たな試験装置を現有設備を利用して製作した。製作した実験装置による試験結果と解析結果を比較し、モデルの妥当性を検証した。
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