研究概要 |
本研究では,微小重力環境下の宇宙ロボットの挙動を地上で正確に模擬するための超高速ハイブリッドシミュレータ,ならびにこのシミュレータを利用した宇宙ロボットの遠隔操作について研究する.本年度は,システムの構築,および基礎的な模擬実験を行った.現有の6自由度超高速パラレルロボットHEXA97をベースに,微小重力環境のハイブリッドシミュレータシステムの構築を行った.HEXA97は,最大加速度40[G],応答帯域幅40[Hz]と,その高速応答性が特徴で,これにより,ロボットと対象物の衝突など,高速な応答を要求される現象の模擬が可能となる.まず,微小重力環境を精度良く模擬できるかどうかを確認するために,基礎実験を行った.HEXA97の揺動台上に力覚センサを取り付け,外力を測定できるようにし,宇宙空間に浮かぶ20[kg]の物体をこの揺動台上に仮定し,力覚センサにより,この物体に加わる外力を測定した.そして,この測定値より物体の運動を数値シミュレーションし,HEXA97によりその運動を模擬した.つぎに,応用実験として,基礎実験で仮定した20[kg]の物体に,500[g]の小物体が約1.5[m/s]の速度で衝突した場合の運動の模擬実験を行った.揺動台上に取り付けられた力覚センサに,500[g]の小物体を,速度1.5[m/s]で衝突させ,力覚センサの測定値から,宇宙空間での物体の運動を数値シミュレーションし,HEXA97によりその運動を模擬した.以上の基礎実験および応用実験の結果から,当初予定のハイブリッドシミュレータの性能が達成できていることを確認した.
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