研究概要 |
本研究では,微小重力環境下における宇宙ロボットの挙動を地上で正確に模擬するための超高速ハイブリッドシミュレータ,ならびにシミュレータを利用した宇宙ロボットの遠隔操作について研究する。昨年度は,6自由度超高速パラレルロボットHEXA97をベースに,微小重力環境の運動模擬を想定したハイブリッドシミュレータシステムの構築を行い,基礎実験と応用実験を行った。その結果,当初計画通り,広い帯域幅を備えたハイブリッドモーションシミュレーションが実現できることを確認した。 本年度は,昨年度の成果を発展させ,数値モデルの比重を高め,実モデルを必要最小限に絞り込むアプローチにより,汎用性と拡張性に優れたハイブリッドモーションシミュレータシステムの構築を行った。これは,数値モデルの動力学計算を行うコンピュータ,HEXA97および6軸力覚センサを制御するコンピュータ,3次元グラフィックスを利用してシミュレーション内容を可視化するためのコンピュータから構成されている。これら3台のコンピュータを用いた並列処理を行うことにより,複雑な衝突を含むシミュレーションを実時間で効率良く行うことが可能となった。加えて,数値モデルと実モデル間のインタフェースに関してモーションテーブルのインピーダンス特性に着目してそのモデル化を行い,実験によって,これを考慮したモーションシミュレーションが有効であることを確認した。また,このハイブリッドモーションシミュレーションシステムの特性を把握し,信頼性を向上していくために,単純なふたつの剛体間の衝突運動を想定し,その運動模擬を行い,これを解析解による模擬結果と比較することにより,本シミュレータの評価を行い,その有効性を確認した。
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