研究概要 |
身体的な特性や操作能力の低下がある高齢者に対してジョイスティックによる運転を適用し,対応性を調査する目的で,秋田県鷹巣町において高齢被験者を対象に制作した実験車両による走行実験を行った.実験の対象者は普通運転免許を所持し,現在も運転を行っている65歳〜81歳までの7人の男性である.被験者には自分が安心して走れる速度で,無理をしないように走行するよう指示を行った.コースは鷹巣町陸上競技場の駐車場にバイロン及び白線で規制して設定した.左カーブ,狭路,右カーブ,スラローム区間を組み合わせたものであり,狭路部分以外は幅5mとなっており,狭路部分の幅は2.5mである. 走行結果として得られた各被験者の試験コース1周分の走行データについて検討を行った. 全体的な評価としては,全ての被験者が最高でも時速10km/h程度の低い速度ではあるが練習をほとんど行わない状態にもかかわらず,十分にジョイスティックでの走行を行うことが出来ている.走行実験後の被験者のアンケートでは,「操作が容易であった」が5名,「今は慣れていないため難しいが,練習すれば慣れるだろう」が2名と,肯定的な結果を聞くことが出来た.また,全ての人が「更に練習すればもっと上手くなる」と答えていることからも,ジョイスティックによる簡易操作が受け入れられる可能性は十分にあると期待できる.また,ジョイスティックの配置や操作反力の好みの傾向が若年被験者と異なっていることや,身体姿勢保持能力が低いことに対応するためにシート等を高齢者に十分考慮したものにする必要があることが確認できた.
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