研究概要 |
腕と脚を合せ持つ作業移動型ロポットのプロトタイプを既存の機構をベースに設計を行ったところ,脚の性能が不足しアームを搭載して作業を行うことができないことが判明した.腕と脚に共用可能なリム(肢)をもつリムメカニズム(腕脚統合型ロポット)のアイデアを検討し,6肢を対称に配置する腕脚統合型ロボットを新たに設計・試作した.設計過程において,本ロボットは肢の幾何学的配置から全方向性を有するため,例えば2肢を腕に用い4肢で歩行する場合,従来の4脚機構と比較して安定余裕,並びに移動速度の点で優れていることが判明した.各リムの動作範囲はロボットボディに対して上下対称となるため,不整地等での転倒に対処可能であり,安全性が高いことも判明した.作業移動型ロボットはエネルギー供給や遠隔操作のための通信ケーブルなどは持たない自立型であることが必要であり,このような自立型ロボットを試作するために,模型用のサーボ機構を利用してコンパクトな実験用プロトタイプを製作した. 6自由度パラレルアームを力フィードバック可能なマスタアームとして利用するため,マスタスレイブ制御系の基礎実験を行った.マスタ側制御計算機,並びにスレイブ側制御計算機(あるいはシミュレーション用計算機)間をデュアルポートメモリで接続することにより,マスタからの位置姿勢指令,スレイプ反力の呈示が十分可能であることが判明した.作業ロボット,並びにその動作環境の状況をオペレータへ効率的に呈示する手法として,装着違和感の少ないヘッドマウントディスプレイ(HMD)を設計試作した.カメラによりオペレータの頭部の動きを非接触で検出することによりその視野を推定し,この推定情報に基づいて環境モニタカメラの方向を制御し,モニタカメラ画像をHMDに呈示するものである.オペレータ頭部の動きにスムーズに追従して現実感を伴った環境画像の呈示が可能であることが判明した.既存4脚ロボットを用い,遠隔操縦法の研究を行った.あらかじめ軌道が与えられる場合は事前に歩容計画を立てて脚の動作制御を行う従来の手法が適用できないため,事象駆動に基づく新たな脚動作制御方式を提案し,遠隔操作実験により安定性,収束性等について評価を行い,本手法の有用性を立証した.
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