交流側リアクトル結合二重化電力変換システムにおいて、リプル成分注入による波形改善の基礎的検討を行った。 1. 波形改善の原理の解明 適切な振幅の6倍周波数のリプル成分を直流リンクに注入すると、交流側電圧波形に含まれる11次以上の高調波成分が相殺されるが、第5と第7調波は増大する。しかし、これら増大する成分は交流側結合リアクトルで消去される結果、合成電圧波形は著しく改善されることを理論的に示した。 2. 最適注入波形の検討 波形改善効果の観点では、三角波が良いがその合成には高周波スイッチングが必要になる。したがって、波形改善効果はいくらか劣るが、6倍周波スイッチング動作による階段波が大容量装置には適している。 3. リプル注入方式整流回路の試作と実験 直流側相間リアクトルのタップをダイオードで自動的に切り換えることにより、ダイオードだけを用いた24ステップ電圧形整流回路が実現できることを実験的に確認した。 4. 今後の課題 交流側結合リアクトルの設計理論の確立、リプル注入回路の最適化、電圧形に双対な電流形変換回路の実現などが今後の課題である。
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