超大容量電力変換装置を実現するためには、低スイッチング周波数で良好な出力(または、整流器の場合には入力)電圧・電流波形が得られる構成にする必要がある。 そこで、本研究では、リアクトルで結合された2組の電力変換器から成るシステムにおいて、直流側または交流側からリプル成分を注入して、合成電圧・電流を正弦波に近いマルチステップ波形にすることを検討した。この方式では、主電力変換器のスイッチング周波数は、出力基本波と同一の低周波数でよい利点がある。 その結果、実用性があるものとして、以下の3方式を開発することができた。 (1)60ステップ出力電圧形6相インバータ 2台の三相電圧形インバータを直流側で直列接続し、その接続点と直流電源中点との間に5レベル電圧形単相インバータを接続して、出力電圧基本波の6倍周波数のリプルを注入することにより、60ステップという極めて良好な出力電圧波形を得ることができた。 (2)36ステップ出力電流形6相インバータ 上述の電圧形に電気回路的に双対な方式として得られるものである。ただし、単相インバータに電圧形のように5レベルは構成し難いので、3レベルインバータを用いて、36ステップ出力電流波形を得ることができた。 (3)24ステップ入力電圧形3相整流回路 相間リアクトルにより交流側で並列接続された2台の整流器のそれぞれの交流側入力端子と直流側中点との間から、スイッチを介してリプルを注入することにより、24ステップ電圧波形が得られる。以前に得ていた着想を、今回実験的に検証することができた。
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