研究概要 |
近年,パワーエレクトロニクス技術の発展により,電力用半導体素子を用いた電力・電子機器が数多く使用されるようになってきた。一般産業用パワーエレクトロニクス機器やインバータエアコン,テレビ・OA機器などの家電・汎用品が発生する高調波電流が配電系統に流入し,現代社会の新たな“公害"として早期対応が迫られている。 平成10年度では,配電系統に分散設置する並列形アクティブフィルタの等価モデルと高調波拡大現象の抑制効果を,理論と基礎実験により検討した。研究成果を要約すると以下のようになる。 1. 電圧検出形アクティブフィルタの等価モデルを理論的に導出し,さらに導出した等価モデルを用いて,配電系統に分散設置した電圧検出形アクティブフィルタの協調制御を実現する新しい制御アルゴリズムを開発した。 2. 上記の結果を踏まえ,電圧検出形アクティブフィルタ(2kVA)設計・製作し,実験によりその安定した動作を確認した。さらに,スイッチングリブル抑制用LCフィルタを設計・製作し,リブル抑制効果を実験により確認した。 3. 前年度に製作した電圧検出形アクティブフィルタ,今年度に製作した電圧検出形アクティブフィルタと電圧形PWMインバータ(2kVA)を用いた高調波発生源を,当研究室所有の配電系統シミュレータ(3相200V40kVA/2フイーダ)に接続し,フイーダ間の高調波拡大現象を抑制できることを基礎実験により確認した。
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