研究概要 |
本研究では,太陽電池と電気二重層コンデンサを組み合わせたクリーンエネルギーシステムの構築を対象に,電気二重層コンデンサの充放電方式の開発,及びその際にエネルギー変換制御を行う高周波スイッチングコンバータの性能向上を目的としている。 本年度は,まず始めに,電気二重層コンデンサ単体の充電電圧限界値2.5V以下を保持するための並列モニタとして単一のMOSFETのみで構成する方法を検討し,充電時には定電流出力DC-DCコンバータが有効であることを明らかにしている。ここで用いるMOSFETとしてはゲート電圧のしきい値が2.4V程度と低い素子を選ぶことが必要である。本実験では,MOSFETを並列に付加した電気二重層コンデンサを6個直列接続した15Vモジュールを構成し,各コンデンサに規定通りの充電ができることを確認している。現在,20モジュール並列構成のシステム(約40kジュール)を作成し,太陽電池を入力とした定電流充電の実験を進めている。 次いで,高周波スイッチングDC-DCコンバータの性能向上のためにソフトスイッチング技術を用いた新しい共振形コンバータを提案している。これはスイッチ素子の零電圧スイッチングを確保しながら出力電圧または電流をスイッチング周波数固定のまま制御できる回路方式であり,高効率・低ノイズが同時に達成できることを解析及び実験で確認している。 また,このエネルギーシステムを適用する場合の種々の負荷を想定し,低電圧負荷に対して高効率を維持する同期整流方式DC-DCコンバータの開発や高電圧交流を必要とする照明用電源として圧電素子を用いた小形薄形の高周波共振形インバータの開発を行っている。 以上述べた成果を基に,次年度以降,電気二重層コンデンサ・モジュールの構成規模を拡大して太陽電池との結合実験を積み重ね,本クリーンエネルギーシステムの適用条件を検討したい。
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