レーザによる電気機器内部磁束の遠隔計測法の技術開発

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10450107
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 植田 清隆 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20294978)
• 研究分担者: 樋口 貞雄 電力中央研究所, 電気物理部, 主任研究員
• キーワード: 発電機 / 電磁界計測 / 電磁界解析 / レーザ光計測 / ファラデー効果 / 送電線 / 電圧・電流計測 / YIG結晶

研究概要

本研究は発電機や送電線などの電力機器内部の磁束をレーザと電磁光学結晶(光結晶)により遠隔計測して、電力系統の新しい計測監視制御システムに適用することを目的としており、次のような研究を実施した。
1.平成10年度は、20年間の国内外の光による電磁界計測の文献調査を行い、光磁束計測が実用化していない理由を明らかにした。
2.さらにYIG(イットリューム鉄等方結晶)を用いて、超電導と常電導マグネット内部の4T(テスラ)までの高い磁束密度を計測し、レーザによる磁束計測方法の基本設計に必要なデータを実験で得た。
3.平成11年度は、送電線周辺の10mT(ミリテスラ)級の低い磁束密度を計測し、送電線の電流を間接計測する光変成器(光CT)を開発した。
4.これは、半導体レーザ、光結晶による計測素子、偏光子、検光子を同一光軸上に配置した光CTで、素子に加わる磁束密度の大きさにより偏光角度が変わるファラデー効果を検出して電流を測定するものである。
5.計測素子は浮遊体溶融法(FZ法)とレーザ蒸着法(PLD法)により作成し、その透過性やファラデー効果の大きさを比較して特性のよいFZ法結晶を採用した。
6.この結果CeやBiをドープしたCeYIGやBiYIG結晶が送電線の電流計測に適していることを明らかにした。
7.製作した光CTを用いて九州電力丸田発電所と七隈試験センターの送電線での現地試験で突発短絡電流や常時電流を計測し、現用の電流計測方法と比較した結果、十分実用性があることを明らかに出来た。
8.これらの結果を九州大学総合理工学研究科技術報告書や国の内外の学会に発表した。

研究成果

• [文献書誌] 林 宏充,植田清隆,栗林英行,能見和司,竹下博人,樋口貞雄: "発電機の保護・安定化制御のための光計測システムの開発"九州大学大学院総合理工学研究科報告. 21巻3号. 257-262 (1999)
• [文献書誌] 林 宏充,岩佐宗八,近藤 剛,植田清隆,樋口貞雄, 栗林英行: "光CT用磁気光光学結晶の波長特性"平成11年度電気関係学会九州支部連合会大会論文集. 382-382 (1999)
• [文献書誌] 近藤 剛,草野 修,林 宏充,植田清隆,能見和司,北崎 勲: "発電機の定常と過度状態量の解析システム"平成11年度電気関係学会九州支部連合会大会論文集. 778-778 (1999)
• [文献書誌] Y.Nakata,H.Uetsuhara,F.Yahiro,T.Okada,M.Maeda,K.Ueda,S.Higuchi: "Fabrication of optically function thin films for electric and magnetic fields sensors by pulsed-laser deposition"Proc. of International Forum on Advanced High-Power Lasers and Applications.. Vol.3885. 304-310 (1999)
• [文献書誌] T.Okada,F.Yahiro,H.Uetsuhara,Y.Nakata,M.Maeda,S.Higuchi,K.Ueda: "Deposition of Highly Oriented Bi_<12>SiO_<20> Thin Films on Y-Stabilized Zirconia and SiO_2 by Pulsed-Laser Deposition"Proc. of 5th International Cofrtence on Laser Ablation. 285-285 (1999)
• [文献書誌] 林 宏充,近藤 剛,岩佐宗八,植田清隆,寺薗完一,竹下博人,樋口貞雄: "送電模擬装置による、Bi-YIG光CTの検証"平成12年電気学会全国大会. (発表予定). (2000)
• [文献書誌] "なし"