研究概要 |
本研究に関する発表論文は,IEEE Transactionに1編,国際会議の2件と電気学会部門大会に1件があり,他に1件の関連共著書も出版している。 本研究の目的は,当初大容量高圧電動機を駆動する交流可変速駆動装置として,出力変圧器を除去し小型高効率高性能化を目指した新しいタイプの多重化とPWM制御を併用する電流形GTOマルチレベル・インバータとパワーデバイスの組合わせ回路による電圧形マルチレベル・インバータの2種類の大容量インバータの開発を行うことであった。 本年度は,昨年度に引き続き,実用性高性能化および小型軽量化などの観点から後者を中心に研究を進め,電圧形順変換器と逆変換器を組み合わせる電圧5レベル順変換・逆変換装置のシステムに展開した。本システムを実現するため順変換器と逆変換器の中間にある3直流分圧点電位がそれぞれ原理的に不安定である課題を解決した。本装置は,5レベル順変換器と5レベル逆変換器を直流側で接続し,ヒステリシスコンパレータ(MHC)を用いたPWM制御手法を考案開発して入・出力電流の瞬時値制御を行うものである。実験装置を作製し,実機実験とシステムシミュレーションにより電動機駆動特性を確認して本制御法の妥当性を検証した。また,本装置を構成する各素子の電流責務を解析し,実用化が充分可能であることを明らかにできた。 以上の結果からほぼ所期の目的を達成することができたと考えられる。
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