研究課題/領域番号 |
10450110
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
陽 完治 北海道大学, 量子界面エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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研究分担者 |
雨宮 好仁 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80250489)
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キーワード | 量子細線 / 自己組織化 / 両性不純物 / 自己選択性ドーピング / 分子線エピタキシー / 静電気力顕微鏡 / 量子コンピューティング / 単電子回路 |
研究概要 |
本研究計画では、独自の量子細線技術を確立、発展させ、それに基づく「量子デバイス」を実現するための基礎を確立することを目的としている。微細加工と自己組織化(結晶成長および両性不純物の自己選択性ドーピング技術)を組み合わせることにより初めて実現できる量子細線は作製が比較的容易にもかかわらず従来得られなかった高品質な超微細構造が実現できる特長を持つことを予備実験で判明した。しかし、(100)基板を用いてリッジの稜線上に細線構造を形成すると下部平面に形成されるn型高移動度トランジスタ(HEMT)構造の電気伝導が問題となり、デバイス特性の検討に障壁となるため、本年度から、(311)A基板を用いて斜面に量子細線を形成する構造で検討することにした。この構造で、基板加工や結晶成長の条件を最適化した結果、約800Åの細線幅を持つ量子細線が実現できた。細線幅は磁気抵抗特性や静電気力顕微鏡により確認できた。作製した細線トランジスタの電気特性は、2次元の高移動度トランジスタに換算して同等程度の特性を有し、細線に閉し込めることでよく見られるような界面散乱による移動度の低下などは招いていないこと、また液体窒素温度では、電界効果移動度に換算して2次元の高移動度トランジスタよりも優れた結果を示していることが分かった。さらに、液体ヘリウム温度においては、電流がピンチオフする近傍で、量子細線に沿ったポテンシャルの揺らぎに起因すると考えられる単電子振動が明瞭に観測された。
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