研究概要 |
本研究の目的は、開発したマイクロ波励起高密度プラズマ装置により、誘電率280以上の高品質な強誘電体薄膜形成プロセス技術を確立することである。その為の基礎技術として、まず結晶化のための低温プラズマ酸化技術を確立した。また、強誘電体とシリコン界面のバッファ層として、低温プラズマシリコン窒化膜形成技術を確立した。マイクロ波励起高密度プラズマ装置は、我々が既に独自開発しており、その結果、高密度(>1×10^<12>cm^<-3>)、大口径均一(300mmウェハ上で±3%以下)プラズマの生成に成功している。この技術を用いると、マイクロ波によって励起されたプラズマで、半導体基板に入射するイオンのエネルギーを7eV以下にまで下げることが可能であり、一切ダメージのない高品質な薄膜の形成が可能となる。本研究では他に類を見ないこの技術を用いることにより、Kr/O_2プラズマを用いて、400℃という極めて低い温度での直接酸化技術に成功した。また、400℃〜500℃の低温において化学量論的なシリコン窒化膜の形成に成功した。さらに成膜雰囲気に水素を添加することによりシリコン窒化膜中の電荷トラップを水素で終端し、熱酸化法により形成されたシリコン酸化膜とほぼ同等の固定電荷密度,界面準位密度を有するシリコン窒化膜の形成が可能であることを明らかにした。また、従来の熱窒化法で形成されたシリコン窒化膜同様、ボロンや酸素の拡散に対し、非常に高いバリア性を示すことを明らかにした。
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