研究課題/領域番号 |
10450113
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡部 俊太郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (50143540)
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研究分担者 |
馬場 基芳 東京大学, 物性研究所, 教務職員 (60159077)
吉田 正裕 東京大学, 物性研究所, 助手 (30292759)
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キーワード | 量子構造 / 導波路 / 半導体 / 顕微 / レーザー |
研究概要 |
電子一次元・光一次元の複合量子化半導体素子構造の1つとして、T型量子細線レーザー構造の構造最適化とその発振特性の評価を行った。この構造の活性層となるT型量子細線は(001)量子井戸とそのへき開面上に再成長した(110)量子井戸で構成される。今回、細線発光のブロードニングの主原因である(110)量子井戸の界面ゆらぎについてその改善を図った。へき開再成長表面のAFM測定から、再成長後の成長中断アニール処理により、表面モフォロジーが大きく改善され、原子層段の無い平坦界面が形成できることを確認した。さらに、この手法を用いたへき開再成長(110)量子井戸、T型量子細線において、これまでより線幅が約一桁も狭い発光スペクトを観測し、量子細線構造の品質、均一性の向上に成功した。また、有限要素法による数値計算により光導波路の最適化を行い、光閉じ込め係数、活性層位置について導波路構造の最適設計を行った。これらを併せて構造最適化を図ったT型量子細線レーザー構造を作製、特性評価を行い、レーザー発振、発振閾値の減少、温度特性の改善などを確認した。 また、リッジ型量子細線レーザー構造について、量子構造からの発光、レーザー発振の偏光特性をへき開端面から顕微計測し、正孔の異方性をとりいれた有限要素法による数値計算との比較から、発振起源とその電子状態(光学遷移強度、偏光依存性もあわせて)について詳細考察を進めた。 また、これら複合量子構造の吸収・利得特性を評価するための顕微透過測定系開発も併せて進めた。透過配置においた量子細線レーザー構造に励起レーザー光を入射し、同軸励起でのレーザー発振を確認した。同時に、出射側での顕微分光画像計測により、発振スペクトル、モードパターン観測も行った。観測波長を励起レーザー波長に合わせることで、透過強度、透過パターンの観測も可能であった。
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